宝永地震はマグニチュード9以上 東海・東南海・南海地震 3連動に現実味

東海・東南海・南海地震震源地になるとされる南海トラフ(海溝帯)で江戸時代に起こった「宝永地震」(1707年)はマグニチュード(M)9クラスだった可能性が静岡大学防災総合センターの石川有三客員教授の研究で判明し、静岡市で始まった日本地震学会で発表されました。宝永地震はこれまで、M8・6で西日本最大の地震とされてきただけに、今回の研究成果は東海・東南海・南海地震対策に影響を与えそうです。

〜石川客員教授は「東日本大震災の発生により、M9地震の震度分布や、その後の余震の震度分布が明らかになったことから、宝永地震との比較が可能になった」としている。

 石川客員教授は宝永地震による震度分布と発生から1カ月間に余震が起きた地域の面積を東日本大震災と比べた。その結果、震度6だったエリアは宝永地震が590キロで東日本大震災の450キロを上回った。余震域の面積は東日本大震災の1・4倍だった。

 こうしたことから、石川客員教授は「宝永地震の規模はM9・1〜9・3の大きさだった可能性が高い」としている。

 東海・東南海・南海地震をめぐっては東日本大震災後、宝永地震震源域が日向灘沖まで広がっていた可能性が指摘されたり、大きな津波被害を起こしたとされる慶長地震(1605年)タイプと宝永地震タイプが連動した地震が発生する可能性なども新たに検討されたりしており、M9クラスの地震モデルの構築が進められている。

 しかし、石川客員教授は「従来の宝永地震だけでも東日本大震災より大きな地震だった可能性がある。新しい地震モデルを求めることより、宝永地震がどのような被害をもたらしたのか、実態を改めて調査検討し直す必要がある」としている。

 この日、石川客員教授の発表に先立ち、地震予知総合研究振興会・地震調査研究センター解析部の松浦律子部長も「東海・東南海・南海地震が3つ連動したと考えられてきたが、宝永地震に関する過去の研究や文献を精査した結果、全く別物の巨大地震だった可能性がある」とし、宝永地震を再調査する必要性を訴えた。〜(産経新聞

海洋プレートが沈み込む南海トラフ沿いでは、最大2万5000人の死者が想定される「東海、東南海、南海」の3連動地震が懸念されており、西の日向灘震源域とする地震に拡大する可能性も指摘されています。
そして、今回、さらに大きな時間軸での連動(スーパーサイクル説)や新たな地震が議論されていることになります。