地震予報の可能性は?

「明日の東京23区で震度5程度の地震が起きる確率は?」

天気予報のような「地震予報」の実現を目指し、国内外のトップクラスの大学や研究機関が、地震を予測する精度を競う検証実験が始まっています。地震予報の実用化は近いのでしょうか?(以下抜粋)


■内外研究者競う

 広島市で10月下旬にあった日本地震学会で、国内外の5機関、計25チームが取り組んだ3カ月予測の結果が初めて公表された。東京大、京都大、スイス連邦工科大など参加機関の研究者が立ち会った公開の答え合わせのようなものだ。

 ルールは(1)日本列島(2)日本列島と周辺海域(3)関東地方、の三つのテスト地域をそれぞれ約10キロ四方の格子((3)は約5キロ)に区切り、3カ月間にマグニチュード(M)4以上の地震がどこで何回起きるかを当てる。さらに地震の規模や場所の分布など四つの評価指標がある。これらをバランス良く予測したものが「良い予測」というわけだ。

 09年11月〜10年1月の対象期間中、日本列島ではM4〜5級の地震が15回起きた。(1)のテストに参加した4機関9チームのうち、これに最も近かったのが12.45回と予測した京大のチーム。逆に最も遠かったチームは30.79回と予測した。京大チームは他の指標でも、誤差の範囲内とされる高水準の成績を残し、東大など他の2チームと共に総合評価で「合格」と判定された。

 国内で仕切り役を担う東大地震研究所の平田直所長(地震学)は「治験で薬の有用性を確認するように、地震の予測も科学の実証に乗せる」と狙いを話す。1日、1年、3年単位の検証実験も同時進行しており、それぞれ予測プログラムを国際公募している。

■日本以外でも

 検証実験は、米研究機関が中心になった世界的な研究計画の一部。日本の他にも米カリフォルニア州やイタリアなどの地震多発地域を「実験場」とみなし、追試を繰り返して世界標準の地震予測モデルをつくることが目的だ。06年に始まり、日本は地震予知研究の一環として08年から枠組みに参加した。

 今回、日本列島を対象にしたテストでは、M4〜5級の地震の予測は既に一定のレベルにあることを裏付けた。ほとんどのチームが「過去に地震がたくさん起きた場所は今後も多く起きる」という前提でプログラムを作っているためだ。しかし、多くの人が知りたいのは、北海道南西沖地震阪神大震災のようなM7〜8級の大地震。頻度が極めて少ないこれら大地震の予測は、現状の統計学的手法では難しいという。

 また、予測網を狭めた場合の正確性にも課題を残した。関東地方に限ったテストでは、参加した7チームすべてが「不合格」。参加した同研究所の楠城一嘉・特任助教は「期間中に発生した伊豆の群発地震の影響があった。三つのプレート(岩板)が複雑に入り組んでいる関東地方はそもそも予測が難しい」と語る。

 平田所長は「今回は日本を実験場にした第1ラウンドで、10回ほど繰り返せばどれがいいモデルか分かるようになる。世界的な研究環境が整いつつある中で、予報に向けた道筋をつけたい」と話している。(毎日新聞

現時点では、地震予報に対する過度の期待は禁物です。そもそも地震への備えが満足にできていなければ、その予測の効果も半減します。常日頃から心と身の回りの準備をしておくことが肝要ですね。