携帯電話に緊急地震速報 あなたの携帯は?

緊急地震速報は、初期微動(P波)と本格的な揺れ(S波)の到達する時間差を利用し、震度5弱以上の強い揺れが予想される地域を事前に特定し、周辺部を含め通知するシステム。気象庁が平成19年10月に運用を開始しました。

 10月下旬時点でこれまで16回の緊急速報が発信されましたが、その存在が大きく注目を集めたのは、9月29日夕に発生した福島県が震央の地震。緊急速報の提供対象が首都圏を含む14都県と広範囲に及ぶ中、役所や百貨店などの施設だけでなく、多くの携帯電話からも「ウー、ウー、ウー」という特徴のある警報音が流れたのです。


「関東地方のある裁判所では殺人事件の裁判員裁判が開廷中で、消音モードになっているはずの傍聴人の携帯電話から発せられたけたたましい電子音が反響。緊急速報を受けて全9路線が一時停車した東京メトロの地下鉄車内でも、異音による動揺が広がった。NTTドコモの窓口には、受信設定方法や対応機種についての問い合わせが地震発生から約3時間で400件ほど寄せられたという。

 ◆対象端末は静かに拡大していた

 「既にドコモは19年12月、auは20年3月までに対応端末の販売を開始。以降、メール機能のない一部機種などを除き、ほとんどの携帯電話に機能を導入。1台あたりの平均利用期間からみると、多くの利用者に既に対応機種が行き渡ったと計算になる。(ソフトバンクも今年8月、1機種でサービスを開始)

 さらに、(これと並行して)ドコモ・au両社は緊急速報の認知度が一定程度高まったとして、当初は初期設定でオフにしていた受信機能を、20年秋ごろから順次オンに変更。速報の存在を知らないまま新規端末を契約した利用者が増えたことも、混乱を招く一因となったと思われる。」

 ◆誤差大きく「オオカミ少年」懸念

 「一方、今回の緊急速報では情報の確度という課題も改めて浮き彫りになった。最終的に震度5弱以上を記録した地域はなく、震度4程度と予測された東京は震度1にとどまった。地震の検知は時間を追うごとに観測点が増えて正確性が高まるが、緊急速報が出された約1秒後の予測では、震源の深さが120キロから10キロに、マグニチュード(M)は6・6から5・6にそれぞれ下方修正された。

 過去16回のうち、6回で実際の最大震度が警報基準を下回った緊急地震速報。「大震災発生!公的支援がくるまでの200時間を生き延びる知識と知恵」(小学館)などの著書がある防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏は「受信機能の利用者が急速に増加する中、情報への信頼が得られない状況が続けば“オオカミ少年”扱いされ、設定をオフにしてしまう人が出てくる」と懸念する。

 マグニチュード8級の東海地震を想定した東京大生産技術研究所の目黒公郎教授らの研究によると、事前に適切な準備がなされ、理想的な条件下で緊急速報が活用されると、死者の8割以上を重傷以下の状態に移行できる可能性があるという。山村氏は「被害軽減のため、緊急地震速報の活用は間違いなく重要。誤報でも『訓練の一環』として認知されるよう、行政や報道機関が定期的に啓発する必要がある」と強調する。

 また、速報受信の有無に伴う“情報格差”の解消に向け、普及率のさらなる向上も今後の課題として挙がる。未対応の携帯電話を使用する利用者は依然として相当数に上るとみられるほか、「iPhone(アイフォーン)」「ブラックベリー」に代表される高機能携帯電話「スマートフォン」の大半は「グローバル仕様で製造されているため、現段階では日本独自の機能搭載に至っていない」(携帯電話会社広報)。「情報に偏りがあればパニックを生み、逆に被害を増幅させる」(山村氏)事態を防ぐため、速報技術の向上に合わせて一層の対策強化が求められている。」

ご自身の携帯の仕様を一度確認されるとともに、現時点での地震速報の性質についても理解する必要があります。


緊急地震速報は、初期微動(P波)と本格的な揺れ(S波)の到達する時間差を利用し、震度5弱以上の強い揺れが予想される地域を事前に特定し、周辺部を含め通知するシステム。気象庁が平成19年10月に運用を開始しました。

 10月下旬時点でこれまで16回の緊急速報が発信されましたが、その存在が大きく注目を集めたのは、9月29日夕に発生した福島県が震央の地震。緊急速報の提供対象が首都圏を含む14都県と広範囲に及ぶ中、役所や百貨店などの施設だけでなく、多くの携帯電話からも「ウー、ウー、ウー」という特徴のある警報音が流れたのです。


「関東地方のある裁判所では殺人事件の裁判員裁判が開廷中で、消音モードになっているはずの傍聴人の携帯電話から発せられたけたたましい電子音が反響。緊急速報を受けて全9路線が一時停車した東京メトロの地下鉄車内でも、異音による動揺が広がった。NTTドコモの窓口には、受信設定方法や対応機種についての問い合わせが地震発生から約3時間で400件ほど寄せられたという。

 ◆対象端末は静かに拡大していた

 「既にドコモは19年12月、auは20年3月までに対応端末の販売を開始。以降、メール機能のない一部機種などを除き、ほとんどの携帯電話に機能を導入。1台あたりの平均利用期間からみると、多くの利用者に既に対応機種が行き渡ったと計算になる。(ソフトバンクも今年8月、1機種でサービスを開始)

 さらに、(これと並行して)ドコモ・au両社は緊急速報の認知度が一定程度高まったとして、当初は初期設定でオフにしていた受信機能を、20年秋ごろから順次オンに変更。速報の存在を知らないまま新規端末を契約した利用者が増えたことも、混乱を招く一因となったと思われる。」

 ◆誤差大きく「オオカミ少年」懸念

 「一方、今回の緊急速報では情報の確度という課題も改めて浮き彫りになった。最終的に震度5弱以上を記録した地域はなく、震度4程度と予測された東京は震度1にとどまった。地震の検知は時間を追うごとに観測点が増えて正確性が高まるが、緊急速報が出された約1秒後の予測では、震源の深さが120キロから10キロに、マグニチュード(M)は6・6から5・6にそれぞれ下方修正された。

 過去16回のうち、6回で実際の最大震度が警報基準を下回った緊急地震速報。「大震災発生!公的支援がくるまでの200時間を生き延びる知識と知恵」(小学館)などの著書がある防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏は「受信機能の利用者が急速に増加する中、情報への信頼が得られない状況が続けば“オオカミ少年”扱いされ、設定をオフにしてしまう人が出てくる」と懸念する。

 マグニチュード8級の東海地震を想定した東京大生産技術研究所の目黒公郎教授らの研究によると、事前に適切な準備がなされ、理想的な条件下で緊急速報が活用されると、死者の8割以上を重傷以下の状態に移行できる可能性があるという。山村氏は「被害軽減のため、緊急地震速報の活用は間違いなく重要。誤報でも『訓練の一環』として認知されるよう、行政や報道機関が定期的に啓発する必要がある」と強調する。

 また、速報受信の有無に伴う“情報格差”の解消に向け、普及率のさらなる向上も今後の課題として挙がる。未対応の携帯電話を使用する利用者は依然として相当数に上るとみられるほか、「iPhone(アイフォーン)」「ブラックベリー」に代表される高機能携帯電話「スマートフォン」の大半は「グローバル仕様で製造されているため、現段階では日本独自の機能搭載に至っていない」(携帯電話会社広報)。「情報に偏りがあればパニックを生み、逆に被害を増幅させる」(山村氏)事態を防ぐため、速報技術の向上に合わせて一層の対策強化が求められている。」

ご自身の携帯の仕様を一度確認されるとともに、現時点での地震速報の性質についても理解する必要があります。