宮城県沖地震 津波被害や経済損失を想定に追加

宮城県は5日、近い将来の発生が予想される宮城県沖地震に備え、2010年度に新たな被害想定調査に乗り出す方針を固めた。被害想定の見直しは04年以来、6年ぶり。現行の第3次想定にはなかった津波被害を追加し、経済損失を含めた県内の被害総額も初めて算出する。

 調査は県防災会議に専門部会を設け、2年間かけて行う。第3次想定は地震被害を500メートル四方、津波の浸水域を50メートル四方で予測したが、次期想定は精度を高めて地震は250メートル四方、津波は10メートル四方で分析する。

 想定される大型地震の可能性はこれまでと同じく(1)マグニチュード(M)7.6の宮城県沖地震単独型(2)宮城県沖地震日本海溝寄りを震源とする地震との連動型(M8.0)(3)長町―利府断層帯仙台市など)による直下型(M7.1)―の3パターン。

 津波被害は浸水域だけでなく、死傷者数や建物、農作物への影響も盛り込む。被害金額には仙台市を中心とした都市機能がまひし、経済活動が止まった場合の損失も加える。住民の防災意識の強弱を反映させる案も浮上している。

 県は12年3月ごろの県防災会議で新被害想定を決定し公表する考え。県地域防災計画も見直し、13年度以降の震災対策アクションプラン策定にも活用する。

 政府の中央防災会議は08年12月、宮城県沖地震などプレート型(海溝型)地震の防災戦略を決定。17年度末までに死者を4〜5割、経済被害を25%軽減させる目標を掲げ、地方自治体に努力義務ながら地域目標の設定を求めた。

 第3次被害想定によると、宮城県沖地震は単独型、連動型ともに県内ほぼ全域で最大震度6弱以上を観測すると予測。単独型は死者96人、負傷者4014人、連動型は死者164人、負傷者6170人と算出した。

 住宅や公共施設の耐震化が進んだため、死傷者数の被害想定は大きく変化する可能性がある。

 県危機対策課は「防災意識の高まりや耐震化の動きを踏まえた想定を目指す。データは市町村に提供し防災対策に生かしてもらう」と話している。