東海地震、東南海地震、南海地震が連動で巨大地震! 

発生すれば大きな被害が想定されている東海、東南海、南海の3地震。連動して発生した場合、東海3県では最大で死者数が4500人に上るなど、これまで試算されていた別々での発生より、大きな被害を受けることが中央防災会議の試算でわかった。こうした想定を受け、国は今年の防災の日(9月1日)は、3地震が連動して発生という初めての想定で訓練をする。
 中央防災会議の試算は、3地震の発生は、午前5時で、風速15メートルという想定。日本列島を1キロ四方で区切り、それぞれの震度や地盤の状態、建物の構造や密集度などをもとに、専門家がはじき出した。

 それによると、全国の死者数は約2万5千人。全壊する建物は約55万棟。最も死者数が多いのは、静岡県(約8100人)。高知県(約4900人)、和歌山県(約4600人)と続く。

 東海3県では、愛知県の死者数が約1900人で、東海地震だけが発生した場合(約500人)の約4倍。東南海地震と南海地震が同時に発生する場合(約1800人)と比べても多い。死亡原因の内訳は、老朽化した建物などの倒壊で約1500人、木造家屋などの火災で約100人、がけ崩れなどの斜面災害で約200人となっている。

 津波による被害を大きく受ける三重県の死者数は約2600人。東海地震のみ(約500人)の約5倍に及ぶ。津波による死者は1千人、建物の倒壊では約1300人、火災で約100人、斜面災害で約300人と想定する。

 震源から離れ、津波の影響も受けない岐阜県は約30人。だが東海地震のみ(0人)、東南海・南海地震(約20人)よりも多くなると想定されている。

 試算の元になった地震の想定は、2003年9月に開かれた中央防災会議の「東南海、南海地震等に関する専門調査会」で公表された。だが、都道府県別の数は算出されていたものの公表されていなかった。先月21日の中央防災会議で初めて明らかにされた。

国は東海地震や東南海・南海地震による被害を最低限に抑えるため、予防から復興・復旧を含めた対策として03年にそれぞれの「地震対策大綱」を策定。05年に、想定した被害を14年までの10年間で半減させることを目標にした「地震防災戦略」をまとめた。建物の耐震化や密集市街地の整備などを進めている。ただ3地震が連動した場合については大綱や戦略はなく、検討している段階だ。人と防災未来センター長の河田恵昭・関西大教授は「3地震が同時発生した場合、単独の地震に比べて被災地域が広く、救援活動が集中できなくなることが課題になる。単独地震を想定したこれまでの筋書きでは対応できず、対応策を見直す必要がある」と指摘している。